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世界無形遺産:能楽

日本の無形文化遺産:能楽

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日本の無形文化遺産:能楽



日本の無形文化遺産といっても幅広いので、このホームページでは世界文化遺産に掲載されたものをご紹介します。

能楽(のうがく)は日本の伝統的な舞台芸能で、式三番狂言の三つの分野に分けられます。(江戸時代以前には現在の能楽に相当するものとして猿楽(さるがく)という言葉が用いられていました。)

能楽の歴史
能楽の歴史は、奈良時代までさかのぼります。当時大陸から、器楽・歌謡・舞踊・物真似・曲芸・奇術などバラエティーに富む「散楽」という民間芸能が渡ってきました。国家の保護下で演じられましたが、平安時代に保護がなくなると、その役者たちが各地に分散して集団を作り、多くは大きな寺社の保護を受けて祭礼などで芸を演じたり、あるいは各地を巡演するなどしてその芸を続けました。この頃に「散楽」は日本風に「猿楽/申楽(さるがく・さるごう)」と呼ばれるようになり、芸の内容も次第に滑稽な物真似が主体となっていきます。これが、時代とともに単なる物真似から脱皮して、様々な世相をとらえて風刺する笑いの台詞劇として発達し、のちの「狂言」へと発展していくのです。

一方、農村の民俗から発展した「田楽(でんがく)」、大寺の密教的行法から生まれた「呪師芸(じゅしげい)」などの芸もさかんに行われるようになり、互いに交流・影響しあっていました。鎌倉中期頃には猿楽の集団も寺社公認のもと「座」の体制を組み、歌舞的要素をとりいれた、一種の楽劇を作り上げていきます。このような物語的要素の色濃い楽劇と、笑いの芸能「狂言」とをとりまぜて上演するという猿楽の形式は、現代の能楽の上演形式にも踏襲されています。

南北朝の頃になると、大和猿楽と近江猿楽が頭角をあらわしてきます。中でも大和猿楽は、14世紀後半を代表する名手観阿弥を生みました。観阿弥は、将軍足利義満の支援を得、大和猿楽の伝統である物真似主体の強い芸風に田楽や近江猿楽などの歌舞的要素をとりいれて芸術的に高めたほか、当時流行していたリズミカルな「曲舞」の節を旋律的な「小歌節」と融合させるなど音楽面での改革をも行って、大いに発展を促しました。

父、観阿弥の偉業を受け継いで、今日まで伝わる「能」の芸術性を確立したのが、世阿弥です。彼は、将軍に代表される観客の好尚に敏感に対応し、先人や同時代の名手たちの長所を上手にとりいれて、父の志した「幽玄」を理想とする歌舞主体の芸能に磨き上げていったのです。「夢幻能」というスタイルを完全な形に練り上げ、主演者である「シテ」一人を中心に据えた求心的演出を完成させて、多くの作品を残しました。また、能の道の理論的裏付けにも力を注ぎ、能楽美論・作能論・作曲論・歌唱論・演技論・演出論・修行論・「座」経営論など多方面にわたる著作を行い、それが今日の能楽に引き継がれています。

能楽の三分野
1.能
能
能は、シテ(主役)の歌舞を中心に、伴奏である地謡(じうたい)や囃子(はやし)などを伴って構成された音楽劇・仮面劇です。能にはいくつか特徴があります。

中でも重要なのは、死者が中心となっているという点です。「死者の世界からものを見る」ということで、多くの場合、亡霊や神仙、鬼といった超自然的な存在がシテであり、常に生身の人間であるワキ(脇役)が彼らの話を聞き出すという構造を持っています。シテは仮面をつけていますが、ワキは仮面をつけません。

即興芸術という点も特徴です。玄人による能は、入念なリハーサルを行わない上に、一度きりの公演です。能では事前に出演者が勢揃いする「申し合わせ」は原則一回で、しかも面や装束は使用しません。かつて、能は全て即興で演じられるものであったようです。

能が表現する概念に「幽玄」と「妙」があります。これらの捉え方は様々ですが、「幽玄」は美的側面、「妙」は形無き姿、無心などと説明されています。

演技としての特徴は、「舞」にあります。能面
「踊り」が飛躍や跳躍を含む語であるのに対し、「舞」は「まわる」つまり円運動を意味する語です。能の舞の特徴は、足裏を舞台面につけて滑るように歩く「摺り足」、膝を曲げて重心を落とした独特の「身体の構え」、そして「円運動」です。また、能の舞は静的であり、一曲の中にはなはだしい緩急がなく、身体に極度の緊張を強いることで、かたい線を出すという特色も持っています。

感情表現は、身体の動きや面の角度で行います。
面は檜などを彫ってつくります。老体、女体(写真)、男体、怨霊などの異相、畜類、仏体、翁面、狂言面などの種類があります。同じ面でも、角度によって喜びの表情にも悲しみの表情にも見えます。

2.式三番
能が成立する以前の翁猿楽の様式を留める芸能が式三番です。もともとは五穀豊穣を祈る農村行事であり、父尉(ちちのじょう)・翁(おきな)・三番猿楽(三番叟(さんばそう))の三演目が連続して上演されたために「式三番」と呼ばれるようになりました(翁、神歌とも呼ばれます)。現在では父尉は省略し、翁を能楽師が、三番叟を狂言師が担当しています。いずれも筋立てというほどのものはなく、老体の神があらわれて天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を祝祷する神事的な内容になっています。

3.狂言狂言
能は面を用いる悲劇的で抽象的なものが多いのに対し、狂言は一部の例外的役柄を除いて面を使用せず、猿楽の持っていた物まね・道化的な要素を発展させたもので、せりふも含め写実的表現が目立ちます。内容は風刺や失敗談など滑稽さのあるものを主に扱っています。

狂言は大きく次の3種類に分類されます。式三番の三番叟をさす「別狂言」、一曲として独立して演じられる「本狂言」(通常、狂言という場合はこれをさす)、能の一部として演じられる「間狂言(あいきょうげん)」

本狂言には、めでたさ本位の曲である「脇狂言」、大名がシテを務める「大名狂言」、「小名狂言(しょうみょうきょうげん)」、閻魔大王や鬼、山伏がシテを勤める「鬼山伏狂言」などがあります。


能楽堂
▲岡崎城二の丸能楽堂(愛知県)


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